Z世代が共感するサステナブル体験のカギは“エゴ(自我)”דエコ(環境意識)”

価値観やライフスタイルが急激に変化する今、わたしたちはどのようにしてその変化をキャッチし、新しい価値、ビジネスを発想していけばよいのでしょうか。

株式会社メディアジーン(本社:東京都渋谷区、代表取締役 CEO:今田素子)のブランドコンテンツ制作スタジオ「THE STUDIO. Glossy & MASHING UP」は、価値観やライフスタイルの変化の原動力の一つとなっているZ世代に着目し、彼らとの独自コミュニティの形成によって、継続的に価値観やライフスタイル、購買行動の変化と、その裏にひそむココロの動きをキャッチアップしていきます。

Z世代への意識調査第4弾となる今回は、上智大学の環境サークル『GREEN SOPHIA』との共同企画・調査設計で「サステナビリティ」に関する調査リサーチを実施。計597名のZ世代にアンケート調査と、そのうち6名には数時間のデプスインタビューを行いました。

※サステナビリティの考え方
サステナビリティ(Sustainability)とは、環境・社会・経済の3つの観点から世の中を「持続可能」にしていく考え方で、「将来に渡って、機能を失わずに継続ができるシステムやプロセス」を意味します。また、個人が心身ともに健やかな状態を継続していけることもサステナビリティだと定義します。個人がサステナブルな状態だからこそ、隣人や社会、地球環境のサステナビリティにも興味を持ち、コミットできる。わたしたちはそう考え、本調査設計を行いました。

 


▽調査タイトル:
Z世代の「サステナビリティ」に関する価値観と生活行動の実態調査
~今求められる個と社会・環境に関するサステナビリティの探求~

▽調査方法:
インターネット調査、インタビュー調査

▽調査対象:
調査❶:1996年~2002年生まれのZ世代495名<一般層>
調査❷:1999年~2002年生まれのZ世代84名<エクストリーム層>

※「サステナビリティ」について、Z世代から無作為に抽出した<一般層>と、環境サークルなどで活動する<エクストリーム層>での比較検証を行う形で、全体像の把握と考察の深堀りを行います。

※<一般層>は、『fastask』社のサービスを活用して全国のZ世代を無作為に抽出し調査実施。
<エクストリーム層>は、上智大学の環境サークルGREENSOPHIAを中心に調査実施。

※❶❷ではN数が異なるため、比較は回答項目の傾向などを中心に行います。

▽調査期間:
調査❶❷ともに、2021年6月15日-6月21日


 

<定量調査結果の考察>Z世代のサステナブル実態と共感のカギとは?

#001 Z世代の“サステナビリティ”意識・行動は二極化の傾向

今回の調査では、一般層とエクストリーム層で“サステナビリティ”についての理解や意識、行動、能動的に情報収集を行っているかなどの状況に大きな差異があり、世代内で意識・行動の二極化の傾向があることがうかがえました。 SNSなどで積極的に情報発信を行うエクストリーム層をZ世代の象徴だと認識しがちですが、二極化の傾向をふまえてより丁寧にアプローチを検討していく必要がありそうです。ただ、どちらの層も可能な状況が整えば、“今よりもっと、サステナブルな意識、行動をしていきたい!”とは考えているようです。

 

#002 “ムダなく長く使えそうか”がZ世代の選択基準

自らの選択や消費にムダがないかという経済的意識と合わせて、長く愛せる厳選したモノに囲まれて暮らす “ミニマリスト”的な生き方に憧れている状況がうかがえます。自分なりに価値のありなしをルール化してお金の使い方にメリハリをつけ、長く愛用できそうなモノにはお金を使う傾向もあるようです。

 

#003 “節約=サステナビリティ”が行動のカギ

先の見えない経済状況の中で育ち、社会で自立して生きざるをえないZ世代にとって、“節約”は日常生活の中での一大テーマ。ゆえに、「マイボトル」「マイバッグ」「食べ残し(フードロス)」など日常生活に直結する節約意識から、結果サスティナブルな行動につながっている状況がうかがえます。Z世代のサスティナビリティに関する行動を後押ししていくためには、“日常生活×節約=サステナビリティ”というアプローチが必要なのではないでしょうか。

 

#004 ”意識高い“と思う原因は「テーマの粒度」と「伝える順序」

サステナビリティのテーマ について“意識が高い”と思われ、自分ゴト化できない原因は、
❶テーマが大きすぎて具体的な接点や関係性を想像できない
❷自分のことよりも社会や地球環境を優先してモノゴトを考えられない
の大きく2点だと考えられます。
サステナビリティに関するテーマについて情報発信をしていく際には、 「粒度」と「順序」に注力して情報設計を行っていくと自分ゴト化、共感がしやすいのではないでしょうか。

 

#005 “個”と“社会・環境”のサステナビリティは強く相関している。

「社会や環境のサステナビリティ」に関する意識が異なる一般層とエクストリーム層を比較してみたところ、個の心身のサステナビリティについても違いがあることが見えてきました。よいところも、悪いところも含めて自分と向き合い、受け入れ、他者との良い関係を主体的に構築することで、心身がサステナブルな状態となり、他者や社会・環境への想像力を育み、思考・行動にも変化を表している状況だと考察します。

<定性調査結果、ビジネスアイデアまでを含む、完全版ダウンロードはこちらから>https://www.mediagene.co.jp/ask_thestudio

 

<定量調査結果>

Q.1 価格以外で、買い物をする際に重視することは何ですか?(複数回答)「求める機能があるか」「『ステキ!』と直感的に思えるデザインか」が双方ともに上位をしめている状況です。興味深いのは、ともに「長く使えそうか」というポイントも重視しており、ムダを省き、ものを長く大切にするZ世代のミニマリストな一面が垣間見られます。

 

Q.2「良い買い物をしたなあ」と気分が上がるのはどんなシーンですか? (複数回答)「価格が安かったが、機能に満足できた時」「製品の効果を実感できた時」「買った物が自分に自信を与えてくれた時」が双方ともに上位を占めている状況です。

しかし、エクストリーム層では「地球環境に貢献できたと感じた時」「誰かのために貢献できた時」に気分が上がるとの回答が比較的多く、その点は買い物をする時に求める価値についての差異があるようです。

 

Q.3-1 暮らしのなかで「もったいない」「無駄だな」「もっとこうなればいいのに」と感じることはありますか?(複数回答)

「もったいない」「無駄だな」など、サステナビリティに関する違和感を感じたことがある人は、一般層で約70%、エクストリーム層では94%。

 

Q. 3-2 前の質問ではい、と回答した人は、具体的にどんな時に感じますか?(フリーアンサー)
両層には共通点が多く、回答には「過剰包装」「マイボトル」「マイバッグ」「食べ残し、フードロス」「ペットボトル」「ビニール傘」などが挙がりました。なくてよいものをもらったり買ってしまった時に金銭的なもったいなさやムダを感じる、もしくは、罪悪感や環境への負荷を感じる心境がうかがえます。

 

Q.4「サステナビリティ」って聞くと何を想像しますか?(複数回答)
一般層は「食料問題」「エネルギー問題」「貧困問題」をイメージする人が多く、約29%の人がサステナビリティについて「特にイメージがない/わからない」と回答。

エクストリーム層は「海洋汚染」「気候変動」「持続可能なまちづくり」「生物多様性の損失」「消費と生産」「エネルギー問題」という回答が均衡しており、多面的にサステナビリティをイメージできている状況がうかがえます。

 

Q.5「サステナビリティ」を意識して、自分は行動できていると思いますか?
「意識して行動している」「やや意識して行動している」の割合が、一般層では約32%。
エクストリーム層では約60%、とサステナビリティに対する意識が行動まで結びついているという点で大きな差異がうかがえます。

 

Q.6「サステナビリティ」を意識して、行動していることを教えてください。(複数回答)
両層には共通点が多く、「ゴミをきちんと分別して出す」「エコバッグやマイボトルを持参する」「洗剤やシャンプーは詰め替え用を買う」「食材や食事を残さない」などに回答が集中しました。日々の生活の中で環境負荷を軽減する行動が無理のない範囲でルーティン化され、節約意識と買った物をムダにしないZ世代の行動傾向がうかがえます。

 

Q.7「サステナビリティ」に関する情報をどこで一番よく見ますか?サステナビリティに関する情報収集の場所を比較してみると、一般層は「TV」「ネットニュース」「特に見ない」、エクストリーム層は「インスタグラム」「ネットメディア」「ネットニュース」と異なる回答傾向に。

特にエクストリーム層では「インスタグラム」の割合が大きくなっており、サステナビリティ関連の情報を能動的に収集していることがうかがえます。

 

Q.8「サステナビリティ」のどんな情報に興味がありますか?(複数回答)
サステナビリティについて興味のあるテーマ上位を比較してみると、一般層は「ニュース等で『〇〇問題』と報じられているテーマの掘り下げ」「特にない」「オーガニック、地産地消等の食の安全」、エクストリーム層は、「個人、自治体、企業による新しいサステナブルビジネス、サービス」「ニュース等で『〇〇問題』と報じられているテーマの掘り下げ」「オーガニック、ヴィーガン等のクリーンコスメ」と異なる回答傾向に。

特に、一般層では「興味がない」と回答した人が約24%にのぼり、エクストリーム層では「新しいサステナブルビジネス、サービス」が最も注目されていたことが両者の意識を象徴しているようです。

 

Q.9-1「サステナビリティ」について、友達や家族と話すことってありますか?
サステナビリティについて、友達や家族と話す人は一般層では約46%、エクストリーム層では約62%。自身の意識や行動だけではなく、外部とのコミュニケーションにおいても差異が見られます。

 

Q. 9-2 前の質問で「ある」と回答した人はどんなテーマを話しますか?
サステナビリティに関する対話のテーマは、両層ともに「環境問題」「気候変動」「マイバッグ」「マイボトル」「sdgs」「気候変動」「異常気象」など近しいテーマが回答されました。

しかし、エクストリーム層については「買える」「変える」「できる」「広める」「話し合う」など、行動にまで言及していることが特徴的です。

 

Q.10-1「サステナビリティ」について話す人は“意識が高い”と感じますか?
「サステナビリティについて話す人は“意識が高い”」と感じる人は、ジェネラル層で約71%、エクストリーム層で約54%。両層ともに半数以上が「はい」と回答しており、対話のテーマとして「サステナビリティ」を選択することのハードルの高さがうかがえます。

 

Q. 10-2 前の質問で「はい」と回答した人は、なぜそう思いますか?(複数回答可)
両層には共通点が多く、「テーマが大きすぎて具体的な接点や関係性を想像できないから」「自分のことよりも社会や地球環境を優先してモノゴトを考えられないから」「社会や地球環境へ配慮したモノやサービスは高いから」などに回答が集中しました。

両層ともに、サステナビリティを実践している人を「意識高い人」だと認識する理由として、“テーマの大きさ・粒度が自分には理解しにくい”“自分のニーズを優先させたい”“高くて経済的に選択できない”という自分との価値観の違いをあげている人が多い状況です。

 

Q.11 時間的・経済的な制限などがない状況だとしたら「サステナビリティ」な考えや行動を今よりもっとしていきたいと思いますか?
時間的・経済的な制約をなくせば、今よりもっとサステナブルな考えや行動をしていきたいと「とても思う」「可能な範囲でと思う」人の割合は、一般層で約82%、エクストリーム層で約98%。

両層ともに8割を超える人が、制約がなければもっとサステナブルな考え方を深め、行動をとっていきたいと考えている意欲的な状況がうかがえます。

 

Q.12 あなたが「素敵!」だと思うサステナブルなヒトやコト、サービス、製品を教えてください。

Q.13 <個の心身のサステナビリティについて>あなたにとって「心の平穏」とは、どういう状態ですか?
「心の平穏」とはどんな状態か?の回答上位を比較してみると、一般層は「心が平和で穏やかなこと」「不安や悩みやストレスがないこと」「ぐっすり眠れること」、エクストリーム層は「幸せを感じること」「心が平和で穏やかなこと」「前向きに生きられること」という異なる回答傾向になっています。

特に、エクストリーム層では自身で“幸せ”や“前向き”さを体感できている状態、つまり“自己肯定”できている状態を「心が平穏」な状態だと認識している傾向がうかがえます。

 

Q.14 <個の心身のサステナビリティについて>今、あなたの「心の平穏」を阻害するものは何ですか?
「心の平穏」を阻害するものについての回答では、「将来への不安」「職場の人間関係」「新型コロナウィルスの影響」などは両層共通の阻害因子となっている状況です。

ただ、エクストリーム層で特徴的だった回答が「自分自身に対するコンプレックスや不満」。彼らが、自分自身のネガティブな感情を阻害因子として認識し、そこに向き合っている状況がうかがえます。

 

Q.15 <個の心身のサステナビリティについて>人間関係において、心の平穏を守るために実際に心がけていることはありますか?
「心の平穏」を守るために人間関係において心掛けていることの回答上位を比較してみると、一般層は「深い付き合いにならないようにする」「一人の時間をつくる」「自分を攻撃してくる人から逃げる」、エクストリーム層は「一人の時間をつくる」「好きなものを食べる」「趣味に没頭する」という異なる回答傾向になっています。

特に、一般層では他者との関係性の“濃さ”や、“距離”を意識的にコントロールしている人が多いようです。

 

Q.16 <個の心身のサステナビリティについて>働くことにおいて何がもっとも大事だと思いますか?
働くことにおいて最も大事だと思うことの回答上位を比較してみると、一般層は「自分に向いている仕事か」「わからない」「自分が好きな仕事か」、エクストリーム層は「自分が好きな仕事か」「職場の雰囲気や文化が自分に合っているか」「自分に向いている仕事か」という異なる回答傾向に。

特に、エクストリーム層では“自分が好き”かどうかが働き甲斐の大きな指針になっており、次いで“自分を受け入れてくれる環境”として職場カルチャーを重要視している状況がうかがえます。

 

Q.17 <個の心身のサステナビリティについて>経済的な将来の不安に対して、今どう向き合っていますか?
両層には共通点が多く、「貯金」「無駄な買い物は控える」「スキルアップのための自己投資をする」「投資や株などをする、もしくは勉強する」などに回答が集中しました。

先の見えない経済状況に対して、自らのできる範囲での“ムダをそぎおとして貯金する”という守りの対策と、“自己のスキルやお金を増やすための投資”という攻めの対策を行っている状況がうかがえます。

 

Q.18 <個の心身のサステナビリティについて>他者に「認めてもらえて嬉しいな」と思うのはどんな時ですか?
両層には共通点が多く、「自分が必要とされた時」「スキルや成果が評価された時」「誰かに感謝された時」「性格や個性が褒められた時」などに回答が集中しました。自身の個性やスキルが認められ、感謝や評価をされた時に承認欲求が満たされている状況がうかがえます。ただ、一般層においては「特にない」と回答した人が20%強にのぼっており、“自己肯定”につながるような他者による承認を受ける機会が少ない人も一定数いるようです。

 

Q.19 <個の心身のサステナビリティについて>自分らしく生きるってどんなことだと思いますか?
両層には共通点が多く「自分を大切にしてあげられること」「感情や感性に素直でいられること」「何かに情熱を注いだり、夢中でいられること」「他者に左右されないこと」などに回答が集中しました。

両層ともに自身の価値観と素直に向き合い、受け入れ、他者に左右されず、自身の価値観のままに情熱を傾けて生きることを「自分らしく生きる」状況だと認識していることうかがえます。

ただ、エクストリーム層においては、「自分のいいところも悪いところも認められること」と回答した人が約52%にものぼっており、コンプレックスや悩みなどのネガティブな感情と向き合うこと含めて「自分らしく生きる」と認識している状況がうかがえます。

 

Q.20 <個の心身のサステナビリティについて>自分らしく生きるために、どんなことを意識していますか?
自分らしく生きるために、どんなことを意識しているかの回答では、両層共通して「自然体でいる」と回答した人が最も多く、両層の違いが表れているのが、その次に続く下記回答。

一般層は「周りに振り回されない」「きちんとNOと言えるようにする」。

エクストリーム層は「自分で自分を労わってあげる、大切にする」「人とのつながりを持ち続ける」。

エクストリーム層においては、より自分と向き合い、人とのよいつながりを築いていく、といった「自分がどうしていくのか」というより主体的な思考、行動状況がうかがえました。

 

総括

Z世代は、「自分」を大切にする世代。

考え、行動、選択、働き甲斐から生き甲斐まで、「自分」の幸せ、心地よさを起点に、どう他者や社会、地球環境と共感し合い、共生していくかを日々探求しています。

彼らのココロを突き動かし、持続的な思考・行動を引き出すためには、「個」の幸せを起点に、それを社会や地球環境とかけ合わせる“エゴ(自我)”דエコ(環境意識)”を体現する「サステナブル」な体験・サービス開発が必要なのではないでしょうか。

 

<定性調査結果、ビジネスアイデアまでを含む、完全版ダウンロードはこちらから>
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■協同調査パートナー
「GREEN SOPHIA」
上智大学の環境サークル。
環境問題についての企画立案、運営、SNSを通しての発信を通して楽しく問題解決に挑んでいます。環境問題について学び、世界に発信していく「環境インフルエンサー」になることを目指して活動中。
https://www.instagram.com/greensophia_insta/?hl=ja

■THE STUDIO. Glossy & MASHING UP
価値観やライフスタイルが多様化する今、企業には、変化をとらえる洞察と新しい価値の創出が求められています。わたしたちTHE STUDIO. は、メディア運営で培った「発想力」と「編集力」、ひとと社会をインスパイアする「情報発信力」を生かし、地球や社会と共生しながら、ひとを「幸せ」にするビジネスを支援します。
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