4月9日、10日にサンフランシスコで開催されたad:techに行ってきました。何度か国内外のad:techに参加していますが、このイベントは、参加者が一つ一つのセミナーを聞いて何かを学ぶという単なる勉強会ではなく、キーノートスピーチで話されるビジョンやセッションで共有される事例などに基づいて、自身のビジネスに照らし合わせて考え、これからとるべき方針や実際の行動に変えていく機会だと思って参加しています。

今回のad:techは、ブランドがユーザーの心を動かすコンテンツをPOE(既存メディアと自社メディアとソーシャルメディア)を介してどのようにユーザーに届けていくかということ。これまで以上に様々な解析が可能になったデータを駆使し、効率を上げて実際の効果に結び付けていくということ。そして、それらの根幹にあるのはオフライン、オンライン通じたUX(ユーザーエクスペリエンス)であるということ。つまりは、昨今の消費者行動の変容に対応すべく求められる全体概念のおさらいと、じゃあそれを実際にどうやっていくべきなのか。もしくは、ブランド側はどうやっているのか。ということがメインテーマでした。

キーノートはいくつかすでに報じられているので割愛するとして、印象に残ったいくつかのセッションをご紹介します。

“Native” Ads, Images and New Must-Haves in the Media Plan
ネイティブアド、メデイアプランに必要とされる新しいアドの形

 スポンサードポストなどに代表されるコンシューマーにコンテンツで直接訴えかけるアドの総称Native Ads。コンテンツマーケティングには欠かせない手法として去年の半ばごろから俄かに脚光を浴びています。

 ブランド側が、オウンドメディアを通じて直接訴えかけるのに対し、メディアを介し、そのメディアのユーザーもしくはソーシャル上での共感を得るようコンテンツで訴求していくというものです。

 いわゆるディスプレイアドがどんどんデータにより効率化されていくのに対し、広告に接する前のユーザーの潜在ニーズを引き出す、もしくは態度変容を喚起するためのコンテンツオリエンテッドな広告です。

 ギズモードをはじめとするメディアジーンのメディアでも、スポンサードポストは、製品やサービスを第三者として読者目線で伝えることができ、アーンドでの拡散にも繋がり、態度変容を起こさせ、実際に購買につながる広告として認識されてきました。CGM台頭以来大きく変容したユーザーの情報取得の潮流に合致する新しいアドの形として捉えられています。

Content Marketing: Tactics and Tools for Success 
コンテンツマーケティング:成功のための戦術と方法

 実際にコンテンツマーケティングを行うにあたり、どのように行っていくべきなのかということを、実例を紹介しながら紹介していくセッションでは、まさにインフォバーンが現在提供しているサービスを、ブランド側、代理店、サプライヤーのそれぞれの視点でみたセッションでした。特に目新しいトピックがあったわけではないのですが、どこの国も同じようなニーズと悩みとプロセスがあるのだなと身近に感じ妙に納得した次第です。

 ざっくりまとめると、ブランド側がオウンドメディアを通じてコンテンツを発信していく際に、まず一番重要なのは、それぞれのステークホルダーのUXから導き出されたコアのストーリー。それを実際にコンテンツとして発信していく上でどのようなチーム編成をして、予算取りをし、スケジュールを立て、コンテンツを企画、制作、発信し、データに基づき検証し改善し、ユーザーのニーズに応じてコンテンツの出しわけをしたりしつつ、KPIを達成していくべきなのかという話です。予算がない会社はどうすればいいのかというようなソリューションの発表もありました。

Social Media: Integrating Paid-Earned-Owned 
ソーシャルメディア:ペイド、アーンド、オウンドメディアの効果的な活用

 ペイドメディアとアーンドメディアとオウンドメディアをどう組み合わせて、効率よく結果を出していくかという話です。この3つが何かとバラバラに動いてしまい期待した結果を出せないというのはよくあるケースかと思います。ターゲットとバランスとタイミングが重要であると口で言うのは簡単ですが、組織や予算の問題でうまく運べないというブランドも多いでしょう。
 ここに対する課題解決を話し合うセッションとなりました。

 私自身の興味の対象に絞ったセッションだったこともあり、参加したセッションは違う言葉で同じことを伝えるものとなりました。つまり、総じて、コンテンツそのもののクオリティとコンテンツデリバリーの両軸を、データを解析しPDCA回しながら成果を出していきましょうという内容でした。

 インフォバーンは、15年前の設立当初からコンテンツセントリックな考えでのコミュニケーション戦略を提唱してきましたが、企業とユーザーを繋ぎ、信頼を作りあげ、親近感を醸成するには、良質なコンテンツとそれを媒介するメディアが必須であると考えてきました。そこにデータに裏付けされるというという新しい潮流が加わったということになります。

 デバイスの変容、情報取得のスタイルの変容による情報循環の仕組みが激しく変化する中、受け入れられるコンテンツの形態もどんどん変わっていきます。常にユーザーに愛されるコンテンツ&メディアを作る事を意識していることがとても重要ですね。

 この後、シリコンバレーで、Facebook、Google、Adobe、Tubemogle、LinkedIn、500startUpsに訪問しました。素晴らしい機会でしたが、その話はまたいつか。