菅付さんの「はじめての編集」を読んで雑感

この週末に、コンデナストの田端さんが薦められていた、菅付雅信さんの「はじめての編集」を読みました。ちょうど、日頃自分がメディアジーンの若いスタッフに伝えたいことを、より深く理解してもらうのに役立つのではないかと思い、まずは自分が先に読んでみようと思ったのです。
菅付さんは、私が出版社での書籍・雑誌出版を経て、ワイアード・ジャパンやサイゾーなど、これまでにない雑誌を立ち上げたいという思いで出版ビジネスに携わっていたのとちょうど同じ頃に、インディーズで注目度の高い雑誌を立ち上げてきた方です。
「はじめての編集」は編集の初心者のためのものだけではなく、メディアに関わる人たちはぜひ読んでおいたほうが良い一冊だと思いました。なぜ、自分がメディアビジネスに携わっているのかをもう一度考え直す良い機会になると思います。スタッフに読んでもらうにも線を引いて渡したい箇所がいくつもありました。
付け加えると、書籍としてのパッケージングが秀逸で、文字、行間、紙の手触り、持ったときの重さ、表紙デザインすべてが調和したものに仕上がっていると思います。書籍の制作に関わってきたものとしては、束見本とカンプでオッケーを出しても実際に出来上がってきたらなんかしっくりこないという経験を何度もしているので、この読みやすさには感動しました。やっぱり紙はすごい。
話は変わりますが、私たちは早い段階で紙の雑誌ビジネスからウェブメディアのビジネスに転向しました。そんな中、ブログは編集者に新しい形のメディアを生み出す自由を与えてくれた優秀なCMSだと考えており、ブログメディアは雑誌に取って代わるメディアとなると考えてきました。情報を即時に発信することができるのと同時に、その読者のコミュニティーを可視化させることができるという意味では、雑誌メディアの上をいくメディアだと思います。また、ソーシャルメディアとの相性が良く、その台頭によりブログメディアの優位性は加速しつつあります。その反面、メディアとしてどのようなスタンスで何を伝えていくか、その企画力が再度問い直されている時期であることも確かです。
個がメディアを持つ時代に、情報の取捨選択という意味においても、読者に新しい観点を提供するという意味においても、さらなる編集力が問われる時代になっていると思います。
私事ですが、私は中学、高校とかけて、毎月お小遣いで330円のビックリハウスと350円の宝島を買い隅々まで読み、将来雑誌を作る人になりたいと考えていました。その思いはかなったわけですが、今では、電車に乗る時には必ず一冊買っていた雑誌もほとんど買うことはありません。
雑誌ビジネスが大きく低迷する中、本当にユーザーに必要とされる情報を、新しい形で届けることがメディアジーンの大きな社会的使命の一つだと考えています。
そして、この本にも書かれている、出版の黎明期に、作家、菊池寛が、「頼まれて物を云うことに飽いた。自分で、考えていることを、読者や編集者に気兼ねなしに自由な心持で云って見たい」と文藝春秋を立ち上げた時と、メディアジーンの今の状況は、ある意味あまり変わらないと思います。
私たちは、今のこの状況を享受し、ますますいろんな方々に読んでいただける「他とは違う」「刺激的な」「情報に富んだ」メディアを出していくことに邁進し、大きく成長していきたいと思います。

